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心の鍵穴11







「神田!いつも悪いな」

先輩である山田に声を掛けられた神田は顔を上げると
「頼りにされてて嬉しいです。」と笑う

「流石だよ。なぁ、お前さ」

急に声を潜めた上司に「?」が浮かんだ

「あの牧野主任と付き合ってるってのは本当か?」

神田はその名前を聞いた途端顔を真っ赤にした
それを見て聞いた本人は「マジか」と呟くと
頭を掻きながらこう続けた

「悪いことは言わない。やめとけ。」

「え?」

「アイツに惚れてる男何人居ると思ってんだよ
噂じゃ、道明寺副社長の女だって話じゃねえか」

またその話か。
神田は聞き飽きた噂話に嫌気がさす
牧野さんがそんな女性な訳ないだろ

清廉潔白とは彼女の為にあるような言葉だ
根も葉もない噂を流されて可哀想に

「仕事デキる上に手玉に取る男も一流となりゃ
そりゃ上が気に入るわけだ。な、神田」

「牧野さんは僕の恋人です。道明寺司とは関係ありません」

「信じたい気持ちは解るが、会社に何度も迎えに来てんだぞ?あちらさんが隠してねーって事はそういう事だろうが」

司に一度遭遇した神田だって
ただならぬ関係であったのは察している
でも、彼女は僕の告白を受けてくれた。

「とにかく山田さんもう変な事は言わないでください!」

「わっかんねぇ野郎だなぁオメェ……
まぁ、俺は良いけど。泣くなよ。牧野主任に失恋して辞めた男多いから」

「僕をそいつらと一緒にしないで下さい」

神田の言葉に相手が「もう何も言わねぇよ」と
半ば呆れた様に言うと神田は席を立った

「どうした」

「終わったので失礼します」

鞄を手に取りその場から出ていく神田

「……はぁ。辞めたのは全員お前みたいなタイプの男なんだよ」

ただ確かに、神田と彼らは違う
片想いで玉砕し辞めた彼らと
恋人の座を手に入れた男とでは
だからこそ、山田という男は神田を心配したのだが

「…ま、失恋したら酒でも誘うか」


神田がエントランスに降りた時、受付嬢と目があった

どうかしたのかと気になり近寄る

「申し訳ありませんが、社員の個人的なスケジュールをお教えするわけにはいきません」

「……そうですよね。すみません、ありがとうございました」

男は頭を下げて出ていく

神田は完全に男が消えてから受付の女性に話しかけた。

「何かあったんですか?」

「…何か、牧野主任の事を聞かれたのよ」

「え、牧野さん?」

「そう。結構可愛い顔した子でね。
年齢、神田くんと近いんじゃない?連絡先預かったんだけど、どうしよ」

神田の頭の中にストーカーという単語が過った

「良いです。僕から伝えときます」

神田の一言に女性も「了解」とメモを渡した

それから会社を出ると、近くのコンビニで
そのメモを捨てた。

牧野さんに、近付くなんて許さない
次見たら警察に突き出してやる

彼女は俺が守るんだ









「……あ、あの、貴方は」

突然、乗れと言われた男は戸惑っていた
目の前の男性の圧倒的なオーラを前に
段々と声も震えるどころか出なくなる

「先にアンタに聞きたい
牧野つくしを調べているようだが
お前何者だ」

「……僕、進と言います。
牧野進……姉を探しています」

そう言って顔を上げた進の顔を司は真正面からじっくりと見た

………確かに似てる。
特に目が

彼女のチャームポイントと呼べるであろう目が
男にそっくりだった。
だが先日、つくしからそんな話は聞かなかった

黙ったままの司に進が言った

「……あの、もしも姉を知っていたら
伝えてください。
東川総合病院の外科病棟に父が入院しています
後、もって3ヶ月です。
姉と、………沢田、沢田千恵子さんに会いたがってると」

「自分で言わなくて良いのかよ」

「……二人は僕に会いたくないと思うので」

進がよろしくお願いします。と頭を下げる
だが、司からの返事はない

「…やっぱり直接言え。姉ちゃんに会わしてやる」

その一言に進は一瞬動揺したように見えたが
再び、ありがとうございます。と頭を下げた。











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