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おっさんこねこの復讐4(司BD)








「…よぉ、起きたか?」

目を開くと、目の前に立った司がこちらを見下ろしていた。

無事だった。
彼が無事だった事に安心し、引いたはずの涙が
再び溢れそうになる
けれど、問題が解決したわけではないし
安心すると今度は怒りが込み上げてきた。


「道明寺、アンタ一体今まで何処に居たのよ。
皆心配してんのよ?!」

つくしは怒りを顕にし司へと近づいていく

「うっせぇよ。誰が頼んだ?お前らが勝手に騒いでただけだろ」

冷たい言葉と鋭い視線
それはいつか、そう記憶喪失になった時の彼の様だった

「ガキじゃねえんだからイチイチ
どこで何してるかお前らに言う分けねえだろ


「そんな言い方……てか、あんた赤ちゃんほったらかして何やってたの?


「何やってた?」

つくしが頷き、そうよ何しての?と聞くと
彼はニヤッと笑ってから
部屋の扉に視線を移した

「……」

そこに立っていたのは髪の長い女性
顔は逆光でよく見えないが
この人と居たんだと理解出来た

「アイツがガキの母親。
ずっと前から結婚したかったんだけど
お前捨てると世間体?つーのが悪いだろ」

「…っ!何それ
だったら言えば良かったじゃない!!
アンタが別れろって言ったら私は別れたわよ!!」

腹が立った。
それは、彼やこの女性ではなく、自分自身に
心変わりしていた司に気づかなかった。
気付いていたら、別れたのに

「お前は、俺が別れるっつったら
簡単に離れてくんだよな」

「は?子供が居るんだから当然でしょ?
他にどうすんのよ」

つくしの言葉に司の表情が寂しげなものに変わった

「お前は結局、俺の事なんかその程度なんだよ
類の代わりなら誰でも良かったんじゃねぇの?」

彼が何を言っているかが分からない

誰でもよかった?そんな訳ない。
大体、何でまた類?

「もう、うんざりだ。
俺は俺を好きになってくれる女と行く」

「道明寺……待って、アンタ誤解してる」

「今さらどうでもいい。ガキはやるよ」

「…は?」

「邪魔だから、お前に育てさせてやる。
有り難く思えよ」

「そんな、あの子の気持ちはどうなるのよ?!
アンタ達親でしょ?!」

「知るか。じゃあな。」

「…っ待ちなさい!!!」

司は女性の腰に手を添えると
ゆっくり扉を開けて出ていった

待って、いやだ!行かないで!!

叫ぶつくしを置いて、1度も振り返ることなく



















___ゴンっ!!!!

「…いった!!」

おでこに与えられた衝撃に思わず
両手で痛む部分を押さえ、目を開けた。

「あー!!」

「……司」

自分を心配そうに見つめる
赤ん坊の姿が目に入った。

彼のおでこも赤くなっている
どうやら先ほどの衝撃は彼によるものらしい

つくしは手を伸ばしてその部分を撫でた

「アンタが助けてくれたの?」

……あれば夢だったのだろうか
それとも、現実?
どちらにしても心の中を暗く重たいものが覆う。

起き上がって、司を抱き上げたつくしは
彼を抱き締めた

「ごめん、あたしのせいだった」

この子には謝らなければならない

アイツが居なくなったのは
あたしのせいだったんだ

「ごめん…ごめっ……ごめん、ね」

今日は泣いてばかりだ。
それでも明日から頑張るから

どうか今だけ、泣かせて欲しい

「うー!あー!!ううー!!」

何かを訴えようとする赤ん坊の司を愛しく思う
一人じゃないことがこんなにも心強いなんて

「あんたは、私が責任持って育てる
どんな事したって幸せにするから」

口に出せば、その決意が確かなものになった
気がした。

ふと、時計を見れば23時過ぎ

寝汗をかいた身体が気持ち悪い

シャワー浴びたいな。
誰かに司を預けて………
いや、これから一人で育てて行くんだから
慣れないと

「…司、アンタも入ろっか」

つくしの言葉に司の顔が真っ赤になる

「なに、照れてんの?赤ん坊って言っても
立派に男の子だ」

立ち上がり、内線で夜勤のメンバーに
司の着替えを頼むと、つくしはベッドに戻り司を抱き上げた。






















……何度でも言う。
この身体でなけりゃ最高のシチュエーションだ


目の前の牧野がゆっくりと服を脱ぐ
ピアスを外し、ネックレスを外す仕草から
女の色気を感じる

それにしても、魘されてたな

赤くなった目が痛々しい

普段ならバスルームまで持ち込まない携帯も
一緒なのは連絡を待ってるからだと解る

そして、今日に限ってそれが揺れた。

「はい、牧野です。美作さん何かわかった?」


あきらか。
俺の事探してんだよな……
アイツも忙しいのに


__うん、まだ。


__NYにはタマさんから連絡が。
一応警察も内密に動いてるみたい


NYに連絡となると、ババアから総監に指示が出たか

__私は大丈夫。ありがとう
司?司は良い子だよ。道明寺の子だとは思えないくらい。ママ似なのかな

笑顔が切ない。
司は堪えられず、つくしに向かって
バウンサーの中から手を伸ばした

それに気づいたつくしが
携帯を耳と肩の間に挟み、司を抱き上げる

_うん。そんなの悪いよ


"司がこのまま見付からなければって話だ
俺と総二郎は司が浮気しないって見越して
からかったりしてたし
マジでガキが出てきたとなると
責任があるっつーか"

スマホから漏れ聞こえる会話に司も耳を傾ける

「本当に気にしないでよ。美作さんたちが悪いんじゃないから。大体、道明寺が消えた今
この子が本家の跡取りでしょ?手放すかな」

"隠しておく必要はあると思う
司が自分から消えたなら…まだあれだが、誘拐なら
命狙われるだろ。そいつ"


公に騒がない理由の1つはやっぱり誘拐の
可能性も消えていないから
道明寺内部に裏切り者がいる可能性もあるわけだ。

「…思った以上に大変なんだね」

下着姿の牧野を明るい場所で堂々と見ている
罪悪感

"そうだ。となると信頼出来る人間にそいつを預けたいだろう。
うちの母親も双子も牧野の事気に入ってるし"

ん?何の話してる?

"最悪、俺と籍を入れて司を待つ。っていう手もある"


……牧野とあきらが結婚?

「ありがとう。」

いや、ありがとうじゃねーよ!!

「でも、大丈夫。アイツきっと戻ってくると思うから」

"……司の母親からうちの親父に連絡があったんだ
お前、あのお袋さんからかなり信用されてるんだな
俺としても司が戻ってきてくれりゃ有難いが
事件かもしれないだけに、お前らの身の安全が優先されてる。お袋さんの見立てじゃ、タマさんと牧野以外全員容疑者って事になってる"

…ババア、酷くね?
いや、俺が不義理して出来たかもしんねぇってかこの場合それしかないガキを牧野に育てさせるのか
けど、こいつが居れば
色んな人間が守ってくれることは間違いない

俺が居なくなるってのは
自分で思うよりも周りを焦らせるんだな


__元に戻れなかったら
牧野はあきらと結婚して、俺は不義の子として
ずっとこいつの側にいるのか

でもあきらは信用出来る
人妻と不倫さえしなけりゃF4で一番のしっかりものだ。

それでも、これはなんの罰だよ……


「美作さんも、社長にも有難い話だけど
私は結婚しない。司は私が産んだものとして一人で育てる」

顔を上げて彼女を見れば、優しい微笑みが返ってきた

「助けてもらうことはあるかもしれないけど
道明寺を待つよ。司の物心がついても帰ってこなかったら死んだことにしとく」

………それもかなり複雑だが贅沢は言えない
だが、それで良いのだろうか
彼女の全ての可能性を一生元に戻らないかもしれない自分が奪う

幸せにもしてやれないのに

司の脳裏に先ほどの泣いてたつくしが映し出され
胸が苦しくなる

良いわけねぇ……
だけど今の自分は伝える手段を持っていない

赤子がしゃべんのって何歳からだよ


"司は幸せもんだな。ありがとう牧野
まぁ、何にしてもあくまで戻らなかったら。だ
また何か分かったら連絡する"

「うん、ありがとう」

電話を切ったつくしが洗面台にそれを置いてから
司を一度バウンサーに戻すと
身に付けていたブラジャーとパンティを脱いだ

先ほどまでの盛り上がりは何処(いずこ)へ
司は今まで生きてきて一番最悪な誕生日だと思う

その後つくしが服を脱がしバスルームに入ると
お風呂用のバウンサーがあり
司は彼女が身体を洗う間その上で
バスタオルに身体を守られながら大人しくしているしかない


浴室暖房が効いてるから寒くはねーけど

シャワーを浴びるつくしを見守る

好きなのは知ってたけど
誰が産んだかわかんねー俺の子を育てるって
俺が思うよりずっとコイツに愛されてたんだと知る

あきらと結婚すりゃ楽だろうに
何で敢えて辛い道を行こうとするのか

あんなに泣いてたんだ
俺がいたらお前、壊れるんじゃねーのか?

……不可能な話だけど
牧野が俺だと気付いてくれたら

話は変わってくるのに


「お待たせ、司」

ふるん、と揺れた白い胸が思いっきり顔に当たる

……拷問だ

「えっと、40度にして
この手袋でベビー泡ソープをつけて洗うと」

桶でゆっくり優しく肩にお湯が掛けられる

「熱くない?大丈夫?」

そりゃもう、丁寧に大切そうに

「あう」と言うしかない。

つか、温い(ぬるい)くらいだ。

一人ぶつぶ言いながら俺の身体を洗う牧野が
俺の背中を見て「え」と呟いた

「……この傷」

腰辺りを触られて俺も気づく
刺し傷だ
4年前、あの暴漢に襲われた時の

牧野だけが近くで何度も見ているその傷が
俺の肉体(からだ)に残っていたらしい

考えればピアスだって着いたままだったんだ

オムツっていう屈辱的なもんは
意地でもコイツに変えさせたくなかったから
タマが慣れてるからと引き受けていた

恥ずかしくて堪らなかったが
堪えるしかねぇ

いや、今はそれより

「……アンタ、もしかして」

真っ直ぐと牧野を見る

「道明寺、なの?」

俺が頷くと牧野の目に涙がたまる

「なんで、こんな
どこぞの探偵漫画じゃあるまいし」

こうしちゃいられない!!と牧野が思い切りシャワーのハンドルを捻った

バシャーッッと頭からお湯を被る俺

テメェ俺だと解った瞬間扱い雑にするんじゃねえよ!!丁寧に扱えッ!!

あ、やば、って言いながらパニクる牧野

ようやくシャワーが止まった時

「ふざけんなよ!お前!溺れんだろうが!!」

「……」

風呂場に牧野の声じゃない声が壁に当たって
反響する

「…本当に、道明寺だった」

牧野の一言で、俺は自分の身体を見て
元に戻ったと気づく
そして、真っ先に彼女を抱き寄せた。









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