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キューピッドは頼りない?6






申し訳ありませんでした!!!

業務開始早々、副社長室に現れた秘書牧野は
そう言って頭を下げた。

「……どうした、急に」

驚きつつあまりの慌てぶりに
一度落ち着くように言ってから理由を聞く

「私がお弁当を押し付けておきながら
副社長自ら姉にお弁当箱を返しに行かせていたなんて
気が付かなくてすみませんでした。この前、言おうとされていたのは
この事だったんですね!!」

本当に申し訳ありませんでした!!!と再び
深々と頭を下げた進を見て
司は何と言うべきか一瞬考えてから


「俺がそうしたかったんだ」

「……と、申されますと」

「だから、………お前の、姉ちゃんに会いたくて」

は、恥ずかしい!

司は片手で口元を隠して、正面に立つ進から
表情が見えぬように回転椅子の向きを変えた。

「姉ちゃんに?」

やばい、気づかれたかもしれない。

いや、気づかれた方が都合が良いじゃないか

「あぁ」

「……もしかして」

「………」

「そうか、なるほど
副社長は調理師の顔を見に行って居たんですね
確かに、直接口に運ぶお弁当を作る姉の体調が気になるのは当然です」

「………ま、まあな」

どうやったらそんな考えに辿り着くのかと
疑問に思うも、わざわざ否定することも出来ず
頷いた。

「流石です!!目の付け所が違いますね」

進がお世辞ではなく心から言っていると
解るだけに、ちょっとだけ罪悪感を感じる

けれど、引き合わせたのはこの弟なわけで

「…でしたら副社長
姉の部屋に来ませんか?」

「は?」

突然の提案に思わず声が出た
それから進を見れば、何を考えているのか
こう続けた

「調理場みたくないですか?」

「見たい」

即答すると、進がやはり。と呟く。
何がやはりなのかと聞きたかったが
司はいつ行って良いと、訊ねる

「一応姉に確認します!!清之介さんの誕生日もあって内輪だけのパーティーもする予定なので
それより前に」

「内輪って何人だ」

進が言い終わる前に司が言葉を被せてくる

「3人です。主役含めて
俺は参加したりしなかったりなんですが」

コイツが行かなかったら部屋に二人きりか?
あの二人付き合ってるのか?!

「俺も行って良いか?」

「そ、それも確認とります」

何としても姉に確認を取らねばと
慌てて副社長室を後にした。















「ねぇ、誕生日なに食べたい?」

包丁の手入れをする清之介につくしが聞いた

「何でも良いぜ、料理人が好き嫌い何て
してらんねぇからな」

「じゃあ、そうね……
お寿司にしようかな」

「それは毎日みてんだ
勘弁してくれ」

つくしは笑ってから
一品くらい考えといてよ。と言って裏に消えた

「……本当に何でも良いんだよ
好きな女の手料理ならよ」

一体後何年片想いを続けたら良いのか
最近現れた御曹司もつくし狙いなのは
間違いないだろうし

進の野郎、余計なもん連れてきやがって

清之介は包丁を研ぎながら、漏れ出たため息に苦笑して、言われた通り何を頼むか考え始めた。

毎年並ぶのは唐揚げやサンドイッチ等のパーティーメニュー
進が持参したゲームをしながら酒を開けて
つくしが追加で軽いもの作ったりして
盛り上がる

最後につくしの作ったケーキを食べて終わり

……この曖昧な関係そろそろおわりにしてぇな

雇われではなく、自分の妻として
この店の女将になってほしい。
まだ付き合ってもいないが、そんな期間今さら何の意味があるのか
いや、意味はあるだろうが

どっちにしても二人きりで過ごしたい
進に言ってみるか


「はぁッッ?!」

「おぉっと!!な、なんだ?」

突然聞こえた大きな声に清之介は
一気に現実に戻ると、後ろを振り返り
つくしの居る裏方へと入っていく

「……あんた、また勝手なことして!!
私は知らないからね!自分で何とかしな!!」

「穏やかじゃねえな。どうしたってんだ?」

「あ、金さん…
とにかく進!私は知らないからね!!
はぁ?知りませんっ!!切るよ!!」

電話に向かって怒鳴ってから
乱暴に通話を終了させたつくしが
一つ大きな息を吐いてから、清之介を見た

「………金さん」

い、嫌な予感がする

「どうした?」

「あのね………」

つくしから聞かされた内容に
進への怒りを覚えるが、悪気があって
やっている訳じゃないだけに
何も言えない

本当にごめんなさい!!と必死に謝るつくしに

「気にすんなって、祭りとケンカは江戸の華ってな。に、賑やかなのは大歓迎よ!!」

惚れた女には強く出れないのは
いつの世も同じ

清之介は、ありがとう、と目を潤ませた彼女を
見て、これで良いんだと言い聞かせるしか無かった。
































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