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キューピッドは頼りない?5








つくしは困っていた。

進の願通りにお弁当を作った翌日

前回と同じ時間に現れた
道明寺さんに綺麗に洗われたお弁当箱と
………携帯番号が書かれた紙を渡された

"お弁当ありがとう、美味かった"

何か違和感を覚えたのは多分

「アタシが好きだって勘違いされてない?」

いや、まさか
なら連絡先は渡してこないだろう。

「…進ってば何て言って渡したのよ」

捨てるわけにもいかないし
進に言うのも違う気がする

今までのお客様なら受け取らないと言えたけど
弟の上司だし……

「姉ちゃーん?いるー?ケーキもら…ぎゃー!!火事ー!!」

「はぁ?!」

進の叫びに我に返ったつくしは
自分が揚げ物をしていた事をすっかり忘れていた

「と、豚カツが!」

「……真っ黒だ」

ガックリと肩を落とした二人は
もう一度火の元を確認してから
外へと食べに出掛けた。















「牧野さん」

「新藤様」

進は新藤亜子を感心する
副社長は相変わらず会おうとしないのに
彼女はめげずに毎日やってくる

「すみません、副社長は……」

「…そうよね。結婚式まで時間がないから
その前に会いたいんです。どうにかならないかしら」

亜子の困った表情に出来ることなら何とかしたいと進は思ってしまう。

だが、立場上勝手なことは許されなくて

「申し訳ありません……」

進が謝罪すると

「牧野さんが悪いんじゃないでしょう?
お気になさらないで
私こそ、毎日押し掛けて……」

「そんなっ!!新藤様は何も……」

慌てる進を見て亜子が笑う

「今日は帰りますね!また来ます」

「……はい」

切なくなる
こんなに新藤様は副社長が好きなのに

とにかく姉ちゃんに副社長を健康にして
貰わないと
そうすれば、副社長だって新藤様に会う余裕が
出来るかもしれない

進は帰っていく亜子の姿を見送りながら
そんなことを考えていた。












「牧野」

書類を届けて部屋を出ようとした時
司に呼び止められた

「はい」

「あ、あのな、」

いつもの副社長と様子が違う
進はもう一度彼の執務机の前に立ち
次の言葉を待つ

「……お前の姉ちゃん」

「姉、ですか……あ、お弁当、やはり不愉快でしたか?」

「違う!それは、違う……いや、何も聞いてねぇなら良い。」

下がって良いぞ。と言われた進は
失礼します。と一礼して副社長室を出る

「…何だったんだろ」

扉の前で首を傾げて呟くと
秘書室へと戻った。









日曜


清之介の営む寿司屋は日曜日は基本
お得意様からの連絡が無ければ休みに
なっている

その為、進はつくしからパシりとして
駆り出されていた。

「姉ちゃん、米くらい通販で買えよ……
ポイント貯まるしそっちのが絶対安いって」

姉が買った米を精米している間
進がボヤくと、付き合いってもんがあんのよ。と
返された。

「大体、誰かさんがお偉いさんに
食べさせるお弁当作らせるから
余計にお米は大事でしょうが。全く……」

腰に手を当てた姉から睨まれた進は
感謝してます……と頭を軽く下げる

「…あ、そういえば、弁当箱」

「……アンタ今さら気付いたの」

面目ない…と小さくなる進に呆れながら
つくしは司が店に返しに来てくれていることを教えてやる

「ま、マジ……」

サーっと血の気が引いた顔になる進に
「明日行ったら謝りなさいよ」と言って
お米袋を持ち上げた。
























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