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黒馬に乗った御曹司(27)







「"また、やらかしたわね……"」

「優紀ぃー助けてよ!どうしよう!!」

「"どうしよう……って……もう、行って来いとしか言えないわよ"」

昼休みに助けを求めて電話を掛けた親友からの言葉にですよね……とつくしは項垂れた

「"付き合ってますって最初に言った方が
相手もまだ傷が浅いだろうし、つくしの為でもあるわよ"」

「…いや、そうなんだけど
別れるかもしんないのに」

「"いつ?今は付き合ってんだから
嘘はついてないでしょ?"」


正論である

「"先約を優先しな"」

「……解った」

つくしの返事を聞いた優紀がそろそろ休憩終るからまたね。と電話を切った

そもそも、こんなに悩んでいるのは
司とディナーの予定だったのは突然とはいえ
前日に決まったが
滋が今日はつくしに会いにやって来て
食事に行こうと誘われた。
ランチの時間帯は会食があって忙しいとかで
つくしの返事を聞かずに帰っていってしまった

「……よし、決めた」

こうなりゃヤケだ。
副社長に頼むしかない









「一体何やらかしたらこんなことになる」

こういう日に限って、トラブルが立て続けに起こるから厄介だ。

司が指揮を執るプロジェクトは日本支社の今後を左右するもの
そこまで重要でなければ司ではない人間が
来ていた事だろう。

「牧野」

書類を持ってきたつくしは不意に呼ばれて
彼と目が合った

「どうかされましたか?」

「ごめんな」

「気にしないで下さい。副社長が悪い訳じゃないんですから」

それに、内心ホッとしている自分がいる

「あぁ。お前は安心してるみたいだしな
別の日に変更するだけだから逃げるなよ」

見透かされてる………

「わ、わかってます!」

「そうか。じゃあ、残業頼んだぞ」

「はい!!」

若干声を裏返しながらもつくしは
返事して部屋から出た後
滋に断りの電話を入れるためその場を離れた。




















「………ふぅ」

つくしが息を吐きながら椅子の背もたれに
身体を預けた。
窓の外では夕方から降りだした雨が今も
街を濡らし、雷まで鳴っている

「…近いのかな」

光ってから音が鳴るまでかやけに早い

佐竹と西田の判断で他の社員は帰らせた為
残されたのは副社長付きのつくしを含めた3人のみ

「お疲れ。これ、晩御飯」

「ありがとうございます。主任。お!焼き肉弁当!!」

「ご飯大盛りね」

「よくご存知で」

つくしが、佐竹に向かって頭を下げると
良く噛んで食べるのよ。と笑われる

「あ、そういえば副社長は?」

「西田さんがお邸に連絡してたと思うけど……」

佐竹の言葉にじゃあ大丈夫ですね。とつくしが
割り箸を手に取った

「でも、お茶は持っていて上げてもいいかもね」

「…西田さんが持っていきませんか?」

「副社長が誰に淹れてほしいかにもよるわよ」

そうだった。
付き合ってて同棲してるって言ったんだったと
今更ながらに思い出したつくしは
焼き肉弁当との暫しの別れを悲しみながら
席を立ち給湯室に向かう

「あ!つくし!!」

呼ばれて振り向いた瞬間、つくしはびっくりして
固まった。

「滋さん……あ、今日は」

頭を下げようとしたつくしを滋が止める

「良いの良いの!残業じゃ仕方ないし!司は?」

「部屋で仕事されてるかと思います」

「入っていいかな?」

不安そうな滋を見てつくしはどうしようかと悩む

でも、せっかく会いに来たのに
それに中に入れたなら西田さんから連絡が
行ってるはず

「今からお茶をお持ちするとこだったんです
よろしければ、私と入りますか?」

つくしからの提案に滋がパァッと顔を輝かせ
そのまま抱きついた

「ありがとう!!さっすがつくし!!」

"言うなら早めに言いなさいよ"

優紀の言葉が頭を過る

……言えないよ
こんなに嬉しそうなのに

「じゃあ、お茶淹れてきますね!」














司はパソコンから一度視線を外して
目と目の間を軽く揉んだ。

つくしは自分と一緒に帰った方が
何かと効率が良いと会社に残したが
きちんと休憩しているだろうかと考える

それから、同じ部屋で仕事している西田を見た

「休憩されますか?」

「…だな。お前も飯食ってねえんだろ?佐竹と行ってこいよ」

「御気遣い感謝いたします。司様は牧野様を呼んだ方が良いですか?」

「あぁ。呼んでくれ」

司が笑って答えた時、部屋の扉がノックされた
思わず「牧野?」と呼ぶと「はい」と返ってきた。

「入ってこい」

「失礼致します」

噂をすればなんとやらとは良く言ったもんだと考えていると、つくしの後ろから

「お疲れ様!!司!!差し入れ持ってきたよ!」

「は?!何で滋が居るんだよ!」

「警備員さんが顔パスで入れてくれた!」

二人の会話につくしは、思わず西田を見てしまう

「…困りましたね」

「すみません……てっきり……」

つくしが謝ると「あなたのせいではありませんよ」と優しく言われてやっぱり頼りになるなと
思う
しかしそんなつくしの表情を司が見逃すハズはなく、「牧野!!」と強めに呼ばれた。


「これはどういう事だ」

冷たく突き刺すような低い声が部屋に響く

「司?」

「西田、滋と席を外せ。牧野は残れ」

「ちょっと待ってよ……つくしは悪くないってば」

つくしを庇う滋に違和感を覚えるが
司は西田に早く行けと指示を出した

「司ッ!!」

滋が呼ぶも一切こちらを見ない
西田から一度退室しましょうと言われ
彼女はしぶしぶ部屋から出ていった。


「申し訳ありませんでした」

頭を下げたつくしを司は黙って見つめる

「謝るような事したのか」

「勝手な思い込みで確認もとらずに大河原様を
ご案内してしまいました。」

「それは警備員のせいだろ。あとは普段からそれを許してる俺の責任でもあるな」

「……」

じゃあ、なんで自分は残されたのか

「牧野、こっち来い」

司はソファに座ると自分の隣を叩いて彼女を呼ぶ

「……でも」

部屋の外を気にする彼女に司が「お前いつから滋と仲良くなった?」と気になった事を問いかけた

「最近です」

「引き抜きか」

「違います!!気が合うからお友達に、と大河原様のご厚意です」

「ふーん」

聞いたわりに興味が無さそうな司に
つくしはもしかしたら彼女の気持ちを知っているのか?と思う

「…安心して下さい。私達のことは言っていません」

「言えばいいだろ。俺は黙ってろなんて言ってない」

「…副社長、その事なんですが」

その時だった、少し前から強くなっていた雨と
雷がどこかに落ちたようで執務室のライトが消えた
いきなり暗闇に包まれた部屋に「キャアッ!!」とつくしの悲鳴が響いた。


「牧野?」

街全体が停電したのか、窓の外も暗い
司は立ち上がりつくしに近づいた

「大丈夫か?」

震える彼女の横に腰をおろして
その身体を抱き締めれば、珍しくしがみついてきた。

「素直だな」

「ごめ……んなさい……くらいのだめで」

心なしか声まで震えていて、司は彼女を抱き締める腕に力を込めた。

「1人じゃない。俺がいる。」

こんな時に不謹慎だが、自分を頼る彼女を愛しく思う。

「意外だな。お前が暗いの苦手とか」

「すみません……」

自分でもどうしてこんなに暗いのがダメなのか
不思議だった。
最初に付き合った人に思いきって打ち明けたら
わざと部屋を真っ暗にして襲いかかられ
その時は蹴り飛ばして難を逃れたが
それ以来誰にも話さなかった。

「……良い大人が恥ずかしいですよね」

「そうか?俺的には得だけどな」

互いの体温が暖房が消えてしまった部屋で唯一の温もり
誰かが側に居てくれる安心感が心まで寒くなっていた彼女を落ち着かせてくれた。

そして、落ち着いてくると滋の事を思いだし
自分が最低な事をしていることに気付く

「…ありがとうございます。もう、大丈夫」

彼から離れようと動くと、それは許さないと
言わんばかりに司が力を腕に込めた。

「たまには余計な事考えずに甘えてみろ
いつまでも他の男思われてちゃ俺だってキツイ」

「…他の男?西田さん?」

「真っ先に出てくるのがまたムカつくんだよ」

「そういえば、何で誰も副社長の安否を確認しに来ないんでしょうか」

「さぁ、案外西田も暗闇ダメで震えてんじゃねーの」

「じゃあ、副社長抱き締めてあげないと」

「…絶対やだ」


心底嫌そうな声につくしが顔を上げれば
司と目が合う

そのまま、彼の顔が傾いて
キスされると思った瞬間


ぐぅー………っと雰囲気に似合わない音が聞こえた

「…お前な」

「だって、晩御飯まだなんですもん」

暗闇でも解る恥ずかしそうなつくしの表情に
司はやっぱり可愛いと思うのだった。
















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4 Comments

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2019/11/04 (Mon) 08:36 | EDIT | REPLY |   

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2019/11/07 (Thu) 22:46 | EDIT | REPLY |   

ch(つくしんぼ)  



a**様

こんばんは!
お返事遅れてすみません(*_*)

体調は今のところは大丈夫です!
あとは赤ちゃんのタイミングを待つのみ(^_^;)

お話楽しんで下さってありがとうございます❗
他のお話も忘れないでいてくれて嬉しいです(*≧∀≦*)全部片付いたら再開したいです(*≧∀≦*)

2019/11/08 (Fri) 22:20 | EDIT | REPLY |   

ch(つくしんぼ)  

私の好物です😆笑


m***様

なんとなくつくしと言えばお肉なんです←
佐竹主任が買ってきてくれるくらいだから
豪華に違いありません🤤❤️
とかいいつつ、私が焼き肉やからあげが
好物でしょっちゅう登場させてるだけだったり……←

彼女が彼だけを見るようになるのは
いつになるのか……😱

2019/11/08 (Fri) 22:25 | EDIT | REPLY |   

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