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half━15







翌日、タマから住所を聞いた3人が早速やって来た
だが、どんなに呼び掛けても応答がない。


冬休み中のつくしは隣の部屋を律儀に掃除し
空気の入れ換えもちゃんとしている。

タマは言ったものの司が同じ部屋に住んでいるのだからしなくていい。と言ったが

誰かがやらないといけないんだから
やりますよ!破格の値段で住んでることには代わりないですし!!とつくしが自らやってくれていた。


その為、日中は隣の部屋に居る事も有り
来客に気付かない。

司は鍵を持っているし、用事は携帯に連絡が来る

まぁ、今日はやけに無駄な連絡が多いが


またもLINEが鳴る

「……暇なのかな」

あ、そうだ28日からお正月まで実家に帰りますって言わなきゃ。

今何してる?と聞かれたら隣室の掃除です。

写メ。と言われたから部屋の写真を送れば

違う!と来たもんだ。

「…なんの写メよ」

解らない。
とりあえず、隅々まで綺麗にしましたよ
という意味も込めて窓の棧(さん)の写真を送ってスマホをエプロンのポケットに収めた。


時刻は12時お昼時

朝ドラの再放送を見ながら昼食を取るため
バケツと雑巾を持って部屋から出た。












「なぁ、出掛けてんじゃねーの?」

あきらが何度鳴らしても反応がなく
マンションの入り口から先に進めない為
もう帰ろうぜ……と言う

「司が出るなって言ってるとか?」

「んなバカな。俺らは10年以上付き合いがあるんだぜ?」

総二郎はそんな事あってたまるかと言う

「でも、じゃあなんで居ないんだよ」

「お前らさ、牧野がいる前提で話してない?」

言われてみればそうだ。
司がマンションに出入りさせているのは
間違いないだろうが


「…もう一回押してダメなら帰るか」

あきらの言葉に頷き、呼び出すと

「"はい、どちら様でしょうか?"」

いた!!!

「牧野か?俺らだ。美作あきら
類と総二郎もいる」

「"あ、確認取れました!鍵開けますね
って言っても司様、今日夕方まで戻られませんよ?"」

「ああ。大丈夫だ。開けてくれ」

「"はい!今開けました!お茶用意してますね"」

「悪いな」

そう言って通話が切れた。

「よっしゃ!!」

三人は中に入りエレベーターで最上階を目指す

司の部屋の前で再度インターフォンを鳴らすと
中からつくしが出てきた

「今電話来て、すぐ帰ってくるそうです!!」

三人はこりゃ調度いいとニヤリと笑った。















「…なんだこりゃ」

仕事用のスマホに家に来客が来たと知らせる
通知が来た

しかもつくしが中に通している

アプリからログインして誰が来たかを確認して

「あのっ!!バカ!!」

常々、誰が来ても開けるなと言ってあったのに!
いや、三人だから油断したんだろうが

「西田!!俺はもう帰る!!」

「どうかされましたか?」

「牧野が家に人いれた」

「彼女はしっかりしています。知らない人では無いはずです」

「うるせぇ!!俺は帰る!!」

司はプライベート用からつくしの番号を呼び出すと怒鳴るように帰宅を告げて電話を切った。


西田からお昼休憩終わったら帰って来て下さいねと言われた司は車の中に居た。

昨日は良かった。

あれから、車を呼びコートと新しく服を買って
つくしに渡せば、いらないときゃんきゃん吠えていたがお前が着ないと俺はどうしたら良いと聞けば今日だけ……と言って彼女は店内で着替えた。

先ほどまでの司のセーターから一転
女の子らしい服に着替えたつくしとイルミネーションを見て、ディナーをして帰宅した。

プレゼントも頑なに受け取らなかったが
イヤリングもカバンも窓から捨てようとしたら
諦めたのか、困ったな……と言いながら受け取った。

自分は何も用意してないというから

ここにキスで良いぞ。と頬を指せば
顔を真っ赤にしながら軽く唇が触れた

……押し倒さなかった自分を誉めたい

朝もイヤリングを着けてやれば(無理矢理着けた)
ありがとうございます。と笑っていた。


あ、年越しどうすっかな
カナダ連れてくか?

当然、二人きりが良い

でもなぁ……
どうせならもっと喜びそうな所ねえかな

考えていたらマンションの駐車場に到着していた

とりあえず車から降りて部屋を目指す
急いで中に入ると



「……そんな、落ち込まなくても」

「そうだ!司が居るし!!な?」

「あ、帰って来た」

ソファで膝を抱えて座るつくしを見て
司が走って駆け寄る

「どうした?何かされたのか?」

「おい」

「お前な……」

とあきらと総二郎が苦笑する

「…ママが」

「ママ?あぁ、どうした?倒れたのか?」

司が聞くと彼女は首を横に降った

「…どうしたんだよ」

「あたしを置いて北海道のおばあちゃんとこに
帰ったんです」

「……え?」

三人は自分達と同じ反応だが、つくしを抱き寄せた司に驚く

「悪かった。会いたがってたのに」

何度も帰りたがっていたのは
離れる日が近かったからか……と一人納得する

「あたしも行きたかった!!北海道!!行きたかった!!パパとママのバカヤロー!!!」

「行きたかった……ってお前」

司の表情が険しくなった時彼女が言った

「だって、年に一度のお正月の帰省ですよ?!
カニだって、お刺身だって、つきたてのお餅だって!!!」

「カニ、刺身、もち……?」

「食い物だらけだね」

類はそういえば、この子はそうだったと思い出す

「娘の誕生日も一人にして!!薄情だ!!!」

「誕生日?」

司が三人を見るとあきらが指を2本立てて
「明後日」と言う

「毎年、家族で祝ってたのに
そりゃケーキとプレゼントはクリスマスと合同だったけど!!カニ鍋ー!!」


司はとりあえず、落ち着けと彼女の頭を撫でる

事情は分かった

早い話が食い物の事だ。

三人はそれとは別に司がさっきから
軽いヒステリーを起こす彼女を宥めているのが信じられない


「というわけで!!明日からお正月休みを!!」

「却下」

「なんでー!!」

いや、そりゃそうだろ……と三人は思う

「良いじゃないですか!!4日には戻ってきますから!!」

「がっつり休むね」

思わず総二郎がツッコむ

「いくら!いくらのお土産」

「カニじゃないんだ」

類が呟いた

「あ、雪だるま!!」

「いらねえだろ」

あきらも思わず言ってしまう。

「ダメなものはダメだ。お前が休んだら
タマが休めねえだろ」

「…あ、そっか」

「まぁ、暇にはならねえよ。俺も出掛けたいしな」

「あ!!」

閃いた!!とばかりに声を上げたつくしが
司の肩を掴んだ

「どうした?どっか行きた「メープル!!司様がメープルでお正月を友人と過ごせばあたし居なくても」


「却下だ!!このバカ女!!!」


どんだけ、カニ食いたいんだ

三人は司に同情しながら、二人のやり取りを見ていた。
















とは言っても、何だかんだ司はつくしに甘い。

その晩には新鮮なカニが空輸されて
食卓に鍋に刺身と並んだ。

「……カニだ」

「良かったね」

類が言うと、本当に嬉しそうに笑顔を浮かべて
はい!と頷く

これは、確かにちょっと可愛いかも……と類も思う

ダイニングに置かれたテーブルは小さいため
4人の食事はお酒とカニと別の部屋につくしが
用意してくれていた。

「あれ、牧野は?」

あきらが聞くと

「18時になったので!」とニコニコ笑って答える


「……お前どこで食うんだよ」

「日本のラーメン100選を見ながらダイニングで食べてます!」

「……ラーメン」

何がそうさせるのか
彼女に一体何があったのか
4人は疑問に思うも、部屋を出で行こうとする
つくしを司が引き留めた

「テレビならこっちにもある。お前もここにいろ」

「でも……」

「良いよ。逆に気になるしね。ラーメン100選」

「だな。大した話もしねえし、ほら取りに行こう」

あきらが言って動くと、司がそれを制した

「行くぞ」

「…炊飯器持ってきて良いですか?」

「……君、本当にすごいな」

総二郎の言葉は皆の気持ちだった。








身をほぐしながら黙々と食べるつくし
時折味噌汁を飲んで、白米を食べる

面白がった類が、司が見ていない隙に
刺身をつくしの口にいれた
当然、司がキレた

「だって、夢中だったから!!ラーメンに!!」

「夢中だったからじゃねえよ!!」

「類ー。助けてやれよ、怒られてるぞ」

「だって、面白くて」

「司、仕方ねーだろ?牧野は誰がくれたかも
見て無かったんだから」

つくしは確かに行儀悪かったけど
そんなに怒らなくていいじゃないかと
思いながらあきらの言葉に必死に頷く


「……はぁ。次は無いぞ」

「気を付けます」

だから一人で食べるって言ったのにと
思いながらつくしは再び頷いた。

昨日の乙女な気持ちは一体どこに消し飛んだのか
テレビで北海道のCMが流れる度に司を見るが尽く無視されたつくしは、この家で一人何して過ごそうかと考えていた。
















「寝たな」

テレビを見ながらうとうとしていたつくしが
眠ってしまった。

「……俺らじゃなかったらヤられてるぞ」

無防備過ぎる彼女
あきらの言葉に司が頷く

「部屋に運んでくる」

「何か手伝うか?」

「良い。お前らは呑んでろ」

そう言って大事そうに抱き上げて
寝室へと運んでいく姿を見送ると
総二郎が「やっぱりまだ信じらんねえ」と呟いた

「何が?」

「いや、司が女大事にしてるのがさ」

どう考えても扱いが付き人ではない。
それに彼女は今冬休みだとタマさんも言っていた

「……あれ、司どこに彼女連れていった?」

てっきり部屋の掃除や食事だけかと思っていたが

「ゲストルームだろ」

「…住んでるんじゃない?」

「「え?!」」

類の言葉に二人の声が重なる

「なんでそう思う?」

「勘」

「勘……」

しかしこれがまたよく当たるから
侮れない。

つくしをベットに置きに行ったまま
帰ってこない司のことも気にしながら
三人はとりあえず大人しく飲む


「見に行こうぜ」

なんて出来るわけなく
やめときゃ良いのに勝手に部屋を出て
二人の部屋を探し始めた。













「……ん」

司は眠るつくしの寝顔を見て、耳に着いた
イヤリングを外してやる

1日中着けていても痛くないようには
してあるが
念のためにと外し、サイドに置かれたケースへおさめた。

「……北海道か」

一人呟き、彼女の部屋のカーテンを閉めてやる

「お前には、俺がいるだろ?」

眠る彼女から返答はない

そっと唇に自身のそれを重ねると
司はようやく彼女の部屋から出ていった。













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